てんかんは、脳の神経細胞が発射している電気的刺激が過剰に出てしまうことによって種々の発作を起こす病気です。
てんかんには大きく分けて2種類あって、原因が特定できる症候性てんかんと原因が分からない特発性てんかんがあります。
このうち症候性てんかんの原因とは、脳の損傷です。

よく子どもの病気と認識されているてんかんですが、その多くは妊娠時や出産時になんらかの脳の損傷を受けてしまった赤ちゃんが発症する例が多いためで、実際にはどんな年齢の人でも発症することはあり得ます。
特に最近注目されているのが高齢者が発症する例です。
欧米の研究によると、70歳以上の発症率はこれまで発症の多数を占めてきた10歳未満の発症率を上回るという結果も報告されています。
その原因の多数を占めるのが脳血管障害です。
脳血管障害とは具体的には脳卒中や脳梗塞が含まれます。

脳卒中は脳のある部分の血管が破裂する病気で、脳梗塞は脳の血管が詰まる病気ですが、いずれも問題を起こした血管の部分から先に血液が送られなくなって、その部分の脳細胞が損傷してしまう病気です。
これらの病気は特に高齢者での発症が多く命にも関わりますが、発生した場所が脳の側頭葉にあたる場合によくてんかん発作を起こす例がみられます。
同じく脳の神経細胞にダメージを与える病気にアルツハイマー病があります。
神経変性疾患のひとつであるアルツハイマー病は、側頭葉の内側にある海馬から変性が始まると言われています。
海馬とてんかんには関連性が深く、この部分を破壊するアルツハイマー病は、発作を発症する直接的な引き金になっています。

高齢者がてんかんを発症する場合に問題となるのが見落としです。
脳血管障害やアルツハイマー病は、それ自体が深刻な障害を発生させるために、てんかんと見分けが付かず診断が遅れてしまう場合があるのです。
例えば口をモグモグさせる自動症や動作の停止などはよく観察していないと気が付きません。
認知障害や精神の不安定もどちらに起因するのか分からいにくい部分があります。

脳梗塞後にてんかんになってしまうこともある

高齢者がなりやすい病気の代表ともいえるのが脳血管障害です。
脳血管障害は、大きく分けると脳内の血管が破裂して起こる脳卒中と同じく脳内の血管ですがこちらが詰まって血がその先まで通らなくなるために起こる脳梗塞があります。
てんかんは脳のうち側頭葉の内側にある海馬という場所の神経細胞に異常が起こると発症しやすいとも言われていて、脳梗塞がこの海馬の近くで起きるとこれが原因でてんかんが発症することは充分にあり得ることなのです。

アルツハイマー病も同様に海馬の近くの神経細胞の変性を引き起こすと側頭葉のてんかんを発症する事がありえます。
前出したように、脳梗塞による後遺障害とてんかんは見分けにくいのが難点です。
アルツハイマーを発症している人の場合だと、てんかんの動作停止の発作がぼんやりしているように見えるので認知症だからだと誤認されてしまいます。
これらの方も脳波を測定するとてんかんだった事が判明したりします。

高齢者の場合は、てんかんの薬が効きやすい傾向があります。
しかし脳梗塞の他にも合併症を持っている場合もあるので処方には注意が必要です。
また、てんかんに対する偏見も高齢者の方が比較的強いと言われていて、なかなかてんかんだという事を受け入れたがらず薬を飲もうとしない患者さんもいるので気を付けないといけません。
高齢者の場合は既に現役を引退している人や施設に入っている人もいて、発作が出ても生活の質がさほど落ちない場合もあることが現役世代との違いです。
そのようなひとりひとりの状況を考えながら、てんかんの発作を完全に抑えるほうがいいのか、薬の副作用を少なめにした方がいいのかを慎重に選択したほうがいいでしょう。